あさがけ/水町綜助
 

もうすぐ、朝がくる
サンダル
ひっかけた
足に
朝がくる

*

四時
もう疲れた新宿
穴の開いたチーズから
ぞろぞろひとがでてくる
それぞれ腕には時計があって
たぶん水晶がはいってる
草むらみたいに揺れればいいのに
もうすぐ電車が出発するよ
ターミナル駅から
しずかにうねって

*

五時十五分
空は曇ってた
日曜日になった
わすれていた蝉が鳴き出して
夏だった
目の前を黒い犬が
赤い舌を出して
はしりぬけた
ぼくは河原にきていて
埋まっている石には
それぞれの名前と
沢山の
ひょっとしたらどうでもいいことが
書かれていて
黒い字で
ぼくはいちいちそれを読んだ
指で摘むみたいに、読んだ
それで、ぼくも
何かをかこうかとおもったが
ペンが無く
小石で引っかこうかとさがしたが
釣り人が来て
なにをしているのか
と尋ねるので
やめた




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