夏の終/モーヌ。
 
その 長身を 伸ばした

かたむいた 太陽に 焼かれながら

水の なかで ひとりの しらさぎが

陽に 焼かれることは なく

かれ ひとりっきりの あゆみの なかで

返照 して 立って いた

川辺で ぼくが 腰を 下ろそうと

かれは 全身 すずやかに 不動 だった

あんなにも 怜悧に 熱く かさなった 青空が

血を 流して いると やさしく 見えた

ばらの 花束を 抱えている ようにも 見えた

積乱雲が 地平から むら湧く

東のほう 東京や 海のあるほうを 見つめ ながら

ぼくらは ふたつの かげと なり ながら

ゆくものを 黙って 解けながら 送った









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