ラニーニャ/松本 卓也
 
言葉を生み出せやしないまま
体重と年だけを相応に積み上げて
平凡にさえなりきれない中途半端さを
呪い続けた証なのだから



見え透いた幻想に緩んだ言の葉は
打ちのめされた現実を救う詩に成りえない
ごらん 生温い戯言を現実が焼き尽くしているよ

掻き集めた薄っぺらい理想をいくら並べても
汗はひと時も止まりやしないというのに

少女の他愛も無い微笑みが
どれだけの生活を崩していったのか
想像したことがあるのだろうか



手を翳すだけで熱が染み込んで
歩くだけ歩いても風は吹いてこない
やがて季節が過ぎるまでの間
誤魔化すのが精一杯なのだろうか


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