「熱帯夜」/ソティロ
 
きっと
アスファルトに死骸は還らないだろう


七年地中で過ごし
地上で七日生きて、死ぬ
それを
何かと重ねる気にはならなかった
その後は
交尾のあと卵はどこへゆくのだろう、と
別の方向へ考えは流れていった



真夏の夜の訪れは清清しい
大気中の青の成分が少しずつ増えて街はじっと待っている
ゆっくりと西の方に太陽が移って黄金に輝いて空を染めて
そのいのちを燃やし尽くすさいごの光を放つ
そうして少しずつ夜がその領土を広げて
ひとびとやそこにいる生命やいのちのないものまでもが
畏れながらもそのからだを預け、祝福すらする
(いのちのないものにも魂は宿る)

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