赤光/石田 圭太
 
むほど、

   柔らかく押し返してくれる

   女だと思う。




 ひとつの終わりが耕されて
  すり抜けていく窓際の、

 誰も知らない
  繰り返される音楽が響く。




 ささやかな夕べ、
  伸び悩んだ静けさの中でも

 日々が
  調べ上げられながら、




 波打ち際の会話をしていた。
  千の痛みが垂れた夜の



 見ろよ、
  叫びの浮く水を

 聴けよ、
  あれが産声だ。













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