君が名/わら
 
万人にも及ばなかった





ああ、
とめどなき  とめどなき


黒く連なりし名は
山よりも長く


ほんの、100人を手にとっては

その色濃きに
ことばをなくす

わたしは、その存在に
呆然と立ちつくす

わたしは、その尊厳に
真には気づきもしていなかった





名を書きつらねる
名を書きつらねる



張り裂けんばかりの無情の念を
そのかけがえのない生涯を

せめて、
ひと筆とまでに省き

すべて、あがなおうとせども



ああ、
それでも
遠く、およばぬ

せめて、
それだけでさえも
[次のページ]
戻る   Point(20)