君が名/わら
万人にも及ばなかった
ああ、
とめどなき とめどなき
黒く連なりし名は
山よりも長く
ほんの、100人を手にとっては
その色濃きに
ことばをなくす
わたしは、その存在に
呆然と立ちつくす
わたしは、その尊厳に
真には気づきもしていなかった
名を書きつらねる
名を書きつらねる
張り裂けんばかりの無情の念を
そのかけがえのない生涯を
せめて、
ひと筆とまでに省き
すべて、あがなおうとせども
ああ、
それでも
遠く、およばぬ
せめて、
それだけでさえも
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