淋しい馬/石瀬琳々
 

時には他の馬たちと群れになり
あるいは孤独に突き進みながら
はるかな流線を描いて馬は走ってゆく
その蹄のあとを追いかけて行きたくても
私には許されていない 眺めるだけ
ふと光が射して影が出来るように
淋しい背中を眺めるだけの


馬はいつもひたむきだ
淋しいのはきっと私の方なのだろう
いつまでも追いつく事のかなわない時間に
飛び越える事もかなわない日常に
馬は軽やかに走ってゆく
今日も美しいたてがみを蹄を光らせて



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