■シロン、の欠けラ(2)/川村 透
 
に、ほろ苦いです。ほんとうは旅に終わりなどなく、夜明けの気配すらない底の底で、僕たちは金色の絶望とともに、それでも毎夜、目を閉じているのだと思う。時には、美しくたってかまわない。9.11のあの日以来、僕たちは戦中派となり、今、そしてここに、薄められた地獄がエ―テルのように漂う世界の住人となった。隣人たちが人知れずその瘴気に犯されたまま溶けてゆく肺胞をCRTでモニタ―しながら、まだ、自分にだけは「その時」がこないことを確かめてから、ゆっくりと浅い眠りにありつくのだ。(コメント欄より)



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