猫とたんぽぽ再び&感動に関するまとまらない考察/佐々宝砂
 
泣くのではなくて、じわっと涙がでた。

そのころうちのチビ猫は、「うちの」チビ猫になりかけたばかりで、ほぼ野良猫だった。呼ぶとやってくるけれどかなり警戒していた(今は膝に乗るようになったし一緒に寝る)。たぶん春のことだったと思うけど、家の前の道路にチビ猫がいるのが見えたので、おいで、と言ったら、玄関先まできた。

立ち止まって、おすわりして、こっちを見上げる猫の隣にたんぽぽがあった。常日頃のチビ猫はあまりかわいげがないのだけれど、そうしてたんぽぽと並んでいるとかわいかった。こいつはたんぽぽが可愛いだなんて思わんだろーなと思った。そして自分が可愛いと思われてることも知らんだろーなと思った
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