ラブアンドピース?いいやラブはピースをも駆逐するのかもしれない。/山田せばすちゃん
 
の区別なく俺は沢山見てきた。彼女ら(彼ら)は本当はベトナムに平和が戻ったのか否か、北総の大地が国家権力の収奪から再びお百姓さんたちの手に戻るのか否か、あるいは革命が起きて資本家が倒され労働者階級が搾取の鎖を断ち切れるのか否かについては実はどうでもよく、ただ単に惚れた相手が身命を賭して運動に没入しているのを愛していて、その助力をしたかっただけだったりするのだし、それはそれでとても好ましい生き方であることをおそらくは誰も否定できない、と俺は思う。
「わたし」にはもはや小田実もベ平連も青春時代を最愛の「あのひと」とともに生きたことの象徴でしかなく、実は「わたし」が本当に愛していたのはおそらくは彼が安下
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