「 とまどうペンギンどもよ今すぐ羽ばたきあたしに続け!。 」/PULL.
、
冷たい浴槽の中で、
膝を抱えてうずくまった。
こんな姿は、
サメザイにだけは見られたくない。
浴室から出ると、
キッチンにサメザイがいた。
サメザイの背中が、
言った。
「スフレ、
食べるでしょ。」
「ええ…。
あなたは?。」
「わたしはいらない。
さっき外で、
食べてきたから。」
「そう、
わざわざありがとう。」
サメザイは慣れた手つきで、
鍋の中にバターを入れ、
掻き回す。
サメザイの背中は、
こんな夜でもぴんとしていて、
あたしとは随分と違う。
サメザイの手が卵を割る。
殻を使い卵白と卵黄を分けながら、
サメザイの背中
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