「 とまどうペンギンどもよ今すぐ羽ばたきあたしに続け!。 」/PULL.
あたしは起きると夜になっていて、
サメザイはいつも、
「おはよう。」
とは言わず、
「こんばんは。」
と言う。
それは皮肉ではないのだけれど、
あたしには皮肉に聞こえて、
だから、
あたしはまたひとつ、
起きたことを後悔する。
サメザイの横を通り過ぎて、
浴室に向かう。
背中に、
サメザイの視線を感じる。
あたしは何も言わない。
サメザイの視線は、
いつだって、
あたしの心をざわざわ波立たせる。
シャワーを浴びていると、
向こうで、
サメザイの声がした。
泣いているのかもしれない。
あたしはシャワーを強くして、
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