白昼ランドスケープ/日向夕美
 
がしたけれど、しばらくして電話が、切れた。

緋色の爪先と往来の喧騒――



双子のだんまりを
見つめながら
うわの空、
柱の隙間に青く
ぼんやりと浮かぶ。
ふいに君が、繋いだ単語に
三半器官を
握りしめられて、
フラッシュの白。
おもわず閉じた
瞼の薄い痙攣、
立ち止まった途端
首筋を伝う汗が転がり、
蝉時雨を逆さまに映す。

濃緑の影に輪唱、クレシェンド



電話の淡い光が消え、隣で寝息をたてる君を、見つめる。汗の滲む額に口づけて、買い物に行きましょう、と起こそう。前から狙っていたケトルがあるのよ、と。きっと君は、まるで私が居ること自体が誤
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