白昼ランドスケープ/日向夕美
 
飴色の柱に、
反射して
アーケードから
白い太陽。
舗先に並ぶは
赤いケトル、と
母の裾を握る双子の眼差し。
鈍痛を伴うかげろうの揺らぎに
金字押し看板が霞む。
マンホールの点、点、
三毛猫が生真面目に
踏み鳴らす

青銅の、道しるべ



「嘘の吐けない男になんか、三行半よ、ミクダリハン」
と進歩的な意見を彼女は受話器越しに吐き捨てた。おそらく、オープンテラスの珈琲と煙草にまじえて。
「悪い人じゃないけどさ、アンタの手に負える相手じゃなかったのよ、ほら、新しい男なら紹介するから、」
この場合、悪い人、というのはなにかしら、と返したら、何か言ったような気がし
[次のページ]
戻る   Point(1)