別れの詩/川口 掌
泳ごうと悩む君の姿を全く見ていなかった
今息継ぎが出来ない泳ぎ方すら忘れかけている僕は布団の中で想わず君の手をしっかりと握り締め囁いていた
強く 握り締めて ずっと離さないで
今やっと君の気持ちが判りかけてきた
今僕もプールの真ん中で立ち止まり不安に震えている
そして漠然と理解っている事
息継ぎが出来ない二人の前には明かりは届かない
このまま二人深い海の底まで沈んで逝くのだろうか
先見えぬ不安に震えながら君だけでも泳いで欲しいと願う
君の手を握り
生きたい
行きたい
逝きたい
想いが交差する
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