聾唖のあなた/円谷一
 
くなっていった 孤児のあなたには帰る場所が無かった 結婚し 帰省することにした 故郷で仕事に就くことができたが あなたはいない間に襲撃されるかもしれない恐怖に脅えて家に籠もりっきりだった 気晴らしにピクニックにでも行こうと誘ってみたが あの場所には爆弾が落ちたのよ 私達の思い出の場所が 本当はあなたが外に出て働くのも嫌なの 何時また何処に爆弾が落ちるか分からないでしょう? あなたがいなくなったら私… だから無理しないで… とあなたは泣きながら訴えた


それでも家族を養う為にどうしても外に出て働けなければならなかった ある時仕事の途中に急に空襲警報が鳴りあらゆる所から爆発音が聞こえてきた は
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