引力/
本木はじめ
何もすることがないから
土を掘っている
素手で掘っていると
爪の中に土が入って
指先が赤く腫れてきたので
彼女を呼んだ
小さなスコップを手に
彼女はやってきた
何が出てくるかな
何が出てくるかな
僕が土を掘り
彼女が土を被せる
僕が土をかき出し
彼女が土を被せる
夕日が沈む頃
僕は遂に言った
「君が土を被せると意味がないでしょ?」
彼女はニコリと微笑むと
山を作りはじめた
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