『石の女』/川村 透
 
がら
僕を満たし僕を石に変えてゆくのを
ひとつシャッターを切るたびに
つま先からゆっくりと着実に、彼女の永遠、が脈打ちながら
僕を満たし僕を石に変えてゆくのを

眠り姫、
石の眠りを眠る、そのかたわらには、
彼女を讃え守るかのように立ち尽くす僕、という石像
印画紙の中、もう彼女の瞳は丸い猫の目の満月、玲瓏と熱を帯び
黄金の朝日となって。

恋焦がれていた、
僕の、かゆみを、いらだちを、あこがれを、癒してくれる
金色の
永遠という死、
黄金の
永遠という死、が


僕を、
盗む。



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「初出 メルマガ『さがな。』62号(2004/1/17)」
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