パパのうそつき。/阿片孫郎
 
ママが私に靴を履かせてくれました。
げんかんで。
「パパを迎えにいくの?」
「いいえ、パパはもう帰ってこないの」

パパは私のことを「大好きだ」ってゆってくれます。
私もパパのこと「大好き!」
おおきいの、私のパパって。
いっつも筋肉のうでで抱きしめてくれて、
ぎゅってされると私のからだは、くううと悲鳴を上げる。
「パパに逢えなくて寂しかったかい?」
「ううん、だいじょうぶなの、がまんできるの」
「えらいな」

ことん、と音がして私は目が覚めてしまいました。
「ママ? どっかいくの?」
「大丈夫よ、すぐ帰ってくるからゆっくり寝てていいのよ、お願いだからね」
「うん
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