電車に乗って田舎へ行こう/円谷一
東京を越えてのどかな場所へ行こう
東京駅からなるべく遠くへ行く電車に乗る
初めは美しいコンクリートの建物ばかり過ぎていったが
だんだんと水田や畑がぽつぽつと見えてくる
終電に着くと そこは名も知らない駅だった
都会的なイメージがある烏が真っ白な空を飛び回っている
あてもなくアスファルトの敷き詰められていない人道を辿っていく
東京よりも肌寒く 誰一人としていない広大な土地を眺める
しばらく歩いていくと 森の前に教会があった
扉を開けて中へ入ってみると誰もいなく 壁に掛けられた立派な宗教絵画をじっと見ていた
森の囁きが小鳥の囀りと共に聞こえてくる 教会の独特の
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