キンコム/たけ いたけ
カメラが置き去りにされていた
ウコン色の砂の中に
捨てられたように
置き去りだ
ずっと地面を見つめて
語りかけている
それを受けて砂がサラサラ応える
秘密の地下室が
永遠と機械を組み込んでいく
水の音も
油の匂いも
眩しい食卓も
全く存在を許されていない
カメラはそんな秘密の地下室を覗く
唯一の優しい眼
暖かい甘さの中を
産まれたてのコバエが纏わりつく
キンコム テントム
キンコム テントム
鉄筋の音が聞こえたなら青空だ
ニンゲンが造っている蟻の巣みたいなものは
自身が手に余らせるほど巨大だ
彼らはその大きな創造のなかで
いつだって自殺のことを考えるネズミの一種
コバエで出来ている俺は
そんな毎日のジグソーパズルを
いっつも弄くりまわしている
戻る 編 削 Point(5)