実験的感覚的その6/円谷一
「なんで歌の中で貴方って呼んでくれないのかってね」 と僕は君に文句を言う
「貴方って何か年上の方の言い方っぽくて嫌なのよ」と君
部屋の中に光が射し込んでいる お祭りの前日の為か外の世界は浮ついている
僕も君も上気している
君は僕の為に曲を作ってくれた 曲が書ける人は魔法使いのようだと思う クラビノーバを弾いて英語混じりの歌を歌ってくれる
君の美しい歌声に耳を傾ける 部屋中の埃が光を浴びて浮き上がっている 日溜まりが僕のところまで伸びてきて君を輝かせる
部屋の中の世界は停止した 時計の針の音が聞こえない
君は目を閉じて弾いている 僕への想いをたくさん込めて高らかに
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