刻塔に渡る/
砂木
寝苦しい夜 はみだした足が
そろりと風を止まらせた
畳の上を這う 小さな羽虫の陰
名札をはずしたつもりになっても
はずれたくない場所がある
どこからもひかれない手だから
にぎりしめて 目を瞑る
木の枝の先に 開く花を思い
散って佇む 実りを乞う
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