カラメル岬にて/楢山孝介
 
さくしたら殴るからな、と言い聞かせた
ありがとうありがとうありがとう
何でもいい、ここに置いてくれたのだから
とんがり君は本当に嬉しそうに言うのだった
またも泣きながら言うのだった
俺とこいつはかつて親友だったのだろうか、と
からまる君は昔のことを思い出そうとしたが
すぐに思いは陰毛に向かい
この一本の白いやつを抜いてみれば
昔の女とまた出会えるかもしれないな
と根拠なく思った
思っただけで抜きはしなかった
とんがり君のいびきはひどいものだった
からまる君は三日間我慢した
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