猫缶/
水町綜助
開けてみている
その時の
離した手の
あいまいな
無意味と
ゆびのひらきかた
それが僕で
ほらちょうど薬指の先あたりに
背景がめくれた扉があって
きゅ
とつまんで開いてみれば
そんなものただ猫缶の蓋だから
打ち捨てなよ朝のつめたいかがやきの中に
土の細かなおうとつすらも彫り透かすような
彩度の低いすんだ光の中に
黒い土に
中身を空ければ
たぶんじゅんすいに輝くから
遊具が錆びていくなかでも
戻る
編
削
Point
(18)