子どもの時間/なかがわひろか
学校とはまた違う場所へ
僕たちはいくつかの街を横断して向かいます
学校で習ったことと
大差ないことを
言葉を変えて教えてもらいます
この時間に僕たちはここにいる必要はないのですが
大切なのはここにいることであって
それ以上の理由はないのです
僕たちのお母さんやお父さんは
僕らがこの時間にここにいることで
たまらなく安心するのです
この場所での時間が終わると
僕たちはやっとお家へ帰ります
頭の中に叩き込まれた知識を
僕らは持って帰った用紙に
何度も何度も確認するために書き込みます
本当はそんなもの
とっくに覚えてしまっているのですが
真っ白な紙が知識で埋められるのを見て
またお母さんやお父さんが安心するのです
それが終わって
僕らは眠りにつきます
また明日も同じことが繰り返されることを確認して
僕らは眠りにつくのです
(「子どもの時間」)
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