砂眠/ねなぎ
 
塩の臭いがした気がして
薄っすらと目を明ける
麻痺しているというのに
時々
思い出して
すぐに忘れる

寝返りをうった所
ペットボトルに足が当たって
空のボトルは
フローリングに
音を立てて砂を巻き込んだ

眠れもせずに
休みだからとの言い訳で
布団に転がったまま
黄ばんだ天井を眺めて
手を伸ばした先に
届きそうで届かない灰皿の中の
長いシケモク

二の腕の下のライターの跡と
じり付くように触る
粒の群れ

そして
正午のサイレンが
特に何も無く響いた

公民館の先の
道路が分断されてから
三日が経過していた
昼間の匂いの中に
間違
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