漆黒の果樹園/鈴木カルラ
い空が生命を供給する、私が漆黒であることのために。
果樹園の木々が私の身体を透して見える、それによって果樹園の木々が私の体を対等に扱い、そして、一体感の創造が昂揚する。
それが、勤めて、支配力として、そして、一本一本の神経によって充填される。
漆黒の幹、漆黒の枝、漆黒の葉が、--実を結ばせる漆黒と私―そして、蒼く限りない空、それは、恋人同士のように寄り添う。
そうだ、何もかも在る、そして、私の神経回路と漆黒の果樹園の共有が既に始まっている。
漆黒の果樹園は私の一部、私の全て、蒼い空は恋人、それは愛人のようだ。
私の心臓は、漆黒の果物と同じ甘美の血で充たされている。
脳は、降り注ぐ光、それしか、そのことしか考えられない。
目は、無限である蒼い空を見ることができる、だが、それしかできない、蒼い空が無限である世界として広がり、
私は、ただ、みつめる、漆黒の果樹園の一部として……
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