天使/なかがわひろか
 
言って僕の胃も底なしな訳じゃない
それでもまだまだたくさんの
羽をむしりとられた天使たちが残っていた
僕はそいつらを小さな鳥かごの中にぎゅうぎゅうに押し入れて
小腹が空いたときに食べようと思った

天使からむしりとった羽は
ふかふかしてとても柔らかそうだったので
そいつで新しい枕を作った

僕はお腹も膨れていたし
まだ少し眠り足りなかったので
新しい枕に頭を埋めて
もう一眠りすることにした

枕はとても
いい匂いがする

(「天使」)
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