ある雨の日より/もも うさぎ
 
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この空のどこかには
必ず壁があって
その狭間を吟遊詩人が旅していて

そんなお話が大好きだったから



さわりたくて のばした手は
収拾がつかなくて 空を掴んで

もうじゅうぶんだと思う


風は
昇華するためだけに
どこまでも運んでくれるから

そのために今日は とても強く吹いて

ときを待っているのだ



人を立ち止まらせるのは
必ず 自分自身の 足で

虚空に気持ちを泳がせては

プリズムの揺れるバスの中を
ドロップのひとつでも 舐める










 
〜ある雨の日より〜

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