職業としての詩人/和泉 輪
今の日本において「詩人」は既に職業として成立しないと言っても過言ではない。職業として成立しないとは言い換えれば需要がないということだ。
私はかつて詩人が果たしていた役割を(エモーションの供給)今はミュージシャンたちが果たしていると考える。彼等は詩人が裸足で逃げ出すほどの美しい言葉を紡ぎ、また切実な内容を訴え、世界観を提示し、そこから生じるエモーションをより効果的に伝える為に自らの声を振り絞り、さらにはメロディーさえも自分で創ってしまう。そんな素晴らしいミュージシャンを私はたくさん知っている。街を歩く若者たちに「好きな詩は何ですか?」と問えば、おそらく詩人のそれではなくミュージシャンの作詞がま
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