すれ違う黒いノート/田島オスカー
もう、なんなの、あんたみたいな人、大っ嫌いよ。
笑っちゃう、と言いながら泣ける君の
大っ嫌いよ、も どうしてよいかわからなくて
早口に喋るなよ、と言ってみたけれど
本当は抱きしめてあげたかったよ
何でいっちゃうの、何でいっちゃうの、
嫌い、大嫌いよ、嫌い嫌い嫌い。
リフレインする 嫌い が
ぼくを包んで いろんなところをちくちく刺す
ああ三流ドラマみたいだ、と僕は思いながら
しかし意識ももう無くなってゆくのが一番悲しかったよ
ね 線香はいらないよ
一番欲しいものを結局教えてあげられなくってごめん
本当は今もわからずにいるんだ
誰よりもきっとぼくこそが その答えを教えてほしいのかもね
ほら もうすぐ君の 誕生日が来るよ
あの人の声が 聞こえた気がした
私はせめてばかりで きっと誰よりも苦しがりたかった
あの人の痛みは もう 痛くなかったのかもしれない
黒いノートはあれからずっと
使えずに中は白いままになっている
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