その日の何日か前/
なかがわひろか
何も返してくれない人もいた
僕は刑が執行されるまでの日数を
毎日数えた
毎日一日ずつ減っていくのは
一つ一つ順番に
課題をこなしていくようで
なんだか心地よかった
刑の執行の前夜は
たくさんのご馳走が並んだ
僕は一生懸命全部平らげようとしたけれど
とても一人じゃ食べ切れるものではなかった
僕は好きな物をいつも最後に残すから
一番食べたかった物を
結局口にすることができなかった
死刑の当日
僕は
死んだ
(「その日の何日か前」)
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