あるいは骸骨の海/たね。
 
ルテよ
この潮に張りつく怒声を洗い
血の通う青い静脈を
せぐり上げろ


*
ずぶ濡れの仔犬
死んだ魚を咥えて歩いてた

ああ、それは
まるでわたしだ

こんな海に生かされ
死んだ魚にも生かされている

黒雲の途切れ
遥か水平線の向こう
遠いブルーに尻尾を振り
喉に詰まる残骸を散らし
海に背をむけ、犬は走った―


ああ
絡み合う碧の
透きとおりの気層
そのいとおしい距離


遠景は吠えている
わたしの骨を噛みちぎる



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