真珠の館/蒸発王
 
の頸飾りのような
無限の輝きを反射させていた


家蜘蛛は
そんな真珠の館を
羨ましそうに見ているのだ




我が家の家蜘蛛は
その名のとおり
家からあまり出ないうえ
巣は作らず
ちょこちょこと走っては
本についたシミだとか
植木に大量発生したアブラムシだとかを
息を切らして捕まえて
お腹の足しにしているような
小さな小さな蜘蛛なので
家の外に出て
雨を着飾るなんてこと
今まで一度も無かったのだけど
やはり
彼女も女の子だったようで

少し寂しかったが

本蜘蛛の意気込みもあって

外に放した



数日もしないうちに
紫色
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