ランジェリー・ラヴ/はじめ
手を緩めて心を軽くし 海が波音を立てずに静かに引いていかせる
歌を歌い終わると僕は君をベッドに誘おうとか細い手を引く すると不思議と手が消えて時間がもの凄い早さで進んでいき 夕暮れになって また違う男性と深い海の中へと姿を消していくのだ
夕暮れは僕を憂鬱な気分にさせた 晩春の夕暮れ時は君が死んだ時の時間にぴったり合っているからであった 君はその時間になると必ず思い出の海の中へ還っていくのだ 僕は影よりも暗く落ち込んでとぼとぼと家へと帰っていく 僕には昨日の記憶を持つことができない 心で感じることが何もできなくなって 僕は世界で一人のまま 家路に着く
夕食も君の分まで作ってテーブルに置い
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