記憶のかけら/
あずみの
ずっと強く
こんなにもはっきり覚えているのだもの
ふと目にしてはそのたびに
あなたを思い出して
あなたといた自分を思い出して
懐かしさと寂しさに軋んだ胸の
痛みは気付かなかった振り
あなたはもういないけれど
嫌う理由ももうないのだけれど
それでもやっぱりどうしても
そのアーティストも
あの作家も
この食べ物も
好きにはなれない天邪鬼なわたし
今でもあなたはそんなわたしを
あのときのような優しい目で
どこかで見守っているのでしょう
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