繋がっていくもの/はじめ
暇潰しに入った近所の小さな図書館で 私は自費出版で出したある詩人の詩集を見つけた
この詩人は名も世間に知れ渡っておらず 芽の出ないまま死んでしまったらしい
春の日溜まりの中で読む詩集は 輝いていて心に素直に染み込んでいった
最後のページを見てみると 死ぬ前にこの詩集を出したらしい
それ以降 私は取り憑かれたように詩に対して興味を抱いた
全然興味が無かった詩を書くようになり詩の賞やコンテストに出すようになるまでなった
でも全然賞に引っ掛かることは無く私は絶望した このままずっと書いていって何も無いまま死ぬ前にあの詩人のように自費出版で詩集を出すのかと思った 誰の目にも触れる
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