必衰/岡部淳太郎
 


どんなに暖かく
また暑くなろうと
季節はその中に
衰弱を隠し持っている
あなたのために必ずや
衰えてあげると
目の見えない者に
変らぬ理をあらわしてくれる
丘を上りながら
尾骶骨がむずむずする
そんな気分になって見上げると
雲がまだ見ぬ夢のために
早くもそそり立ち
まだ遠い丘のいただき
そこにある一本の樹の枝に
永遠が首を吊っている



(二〇〇七年五月)
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