残された風景/はじめ
 
いる
 君と食べたアイスクリームを食べる ちょっぴり塩辛い味がした
 君と僕が通っていた学校を訪れる 君は先輩だった
 君が… 残された風景を回り続けるには僕の寿命が少し足りないみたいだ
 残された風景が眺められる岩山に腰掛けて僕は全てを見た気分になる
 これでいいんだ これでいいんだ
 僕はもう天国に来た気分になっていた 睡眠薬を取り出す
 でも死を留まる存在がいることに気付く 自我が優しく予定行動にブレーキをかける
 そうだ 僕は死んじゃいけなかったんだ まだ君が残した風景を全部見ていないじゃないか
 砂漠の荒野の中で寄り添うように集まっている君の風景
 僕はこの風景を再び一生見守っていこうと心に決める
 僕はいつのまにか老人になっていた
 心の太陽が残された風景を背にしたときクリーム色の光を僕に発しているのが見えた
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