残された風景/はじめ
君が死んでから幾つもの日々が流れただろうか
残されているのはこの風景だけ
今も変わらず風に吹かれて立ち聳えている
僕は風景の守り人として一生を捧げようと思う
だからこの場所から離れずに生きている
森からやって来た闇に溶ける獰猛な野獣がこの風景を食らおうとしている
でも思い出だけは何事にも影響されず活発に動き回っている
僕にこの風景と重なって君を脳裏に映し出してくれる
楽しかった日々 僕はしょっちゅう思い出の場所を訪れる
そこには君はいない
時の日差しは暖かく 僕に記録としての詩を書く力を与えてくれる
今考えると何もなかった時代だ
セピア色の君が仕事
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