秘密基地/はじめ
 
 今の時間から親友が集まる木の上の秘密基地へ行く
 夜も更けて満天の星空が顔を出している 月の時計が僕をウキウキさせる
 濃密な暗闇は景色に馴染んでいて リュックを担いで夜道を全速力で走る
 僕達二人がこつこつ半年をかけて造った秘密基地は街を見下ろす山の頂上にある 巨大な木に登って秘密基地に着くと僕は秘密の合い言葉を言ってドアを開けてもらう 街の明かりが後ろめたい気持ちを胸の辺りにまで上げてくる でもそんなのは払いのけて僕達はトランプに熱中したり僕の好きな子のことで盛り上がったりする
 親友は学校に馴染めないらしくいつも僕と二人っきりである 僕には他に友達がいたが 片時も彼のことを忘れたこ
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