ネガ/松本 涼
 
雨雲に覆われた街を
切り取る車窓を眺めれば
まるで僕らは
ネガの中を走っているよう

降り出しそうで
堪(こら)えるあの空には
あとどれだけの
時間があるのだろう

始まれば途切れない
鼓動のように
街はそれを
受け入れるのだろう
そして僕も

現像出来ない世界を今少し
緩やかに走ろう

次の駅に着く頃には
きっともう
始まる

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