朝のお母さん/なかがわひろか
 
いる中に
放り投げてくれたら
私はきっと毎日とても嬉しいでしょう

けれど二人は
私をビニールで包んで
車の荷台に載せて
今晩私を捨てに行こうと結論を出しました

動物を飼ってはいけないといつも言われていたので
私はその話を聞いても
それほど残念ではありませんでした
それはいつものことですから

私はせっかく学校に行かなくてもよかったので
テレビを見たり
絵本を読んだりしたかったのですが
車の荷台でぐるぐる巻きにされていては
何もすることはありません

なんだかあんなに嫌いだった学校が
今ではとても恋しく思います
みいちゃんや
けんくんに
逢いたくなって
私は一人で少し悲しくなりました

お腹が減って仕方がありません
どうせなら
おいしいものをたくさん食べさせてくれてから
殺してくれたらよかったのにと
初めて少しお母さんを
恨みました

(「朝のお母さん」)

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