いくつもの 路上/水町綜助
 
る君は
僕が道を歩き
街路樹に隠れるたびに
またあらわれるたびに
まばたきをするから
その睫毛のえがく斜線に引っかかれて
僕はまたかすれて
緑の乱反射にかき回される
もうめちゃくちゃだ
光は切るし
もともと切れてるし
君まで切るし
血なんかでねえよ
光が回ってる
所詮空想の光だ

一本のけやきの木があそこに生えてる
あそこまで行ったら
重なって立ち止まろう
雨が降り出すまで
そして君から隠れて本を燃やそう
けやきの木はよく燃えるらしいから
落雷で
そのついでに


  *


五月末 習慣少年ジャンプ 解熱剤

益々わからなくなってきた
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