少女の色/なかがわひろか
 
女の頭にドリルで大きな穴を開けた
血がどぼどぼと溢れ出てきたから
彼が急いで少女の足を持って
逆さにしてバケツの中に注いでくれた

とっても鮮やかな赤色で
私が思い描いていた色とぴったりだった
私は早速筆に色をつけて
絵の仕上げに入った

私の描いた絵は
今までで一番の傑作になった
どうせなら誰かにもらってもらおうよ
彼がそう言ったから
そうね、と言って
キャンパスを抱えて公園へ戻った

公園では少女のお母さんが
近所の人と手分けして
少女を探していた

私はにこにこしながら
お母さんに
少女の血で描いた絵を
手渡した

(「少女の色」)
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