うさぎは幸せだったか〜愛し方について〜/a/t
 
今夜はうさぎのお話をします



その詩人は愛するうさぎのために
十日ものあいだ寝食を忘れ
うさぎに捧げる愛の詩集を書いておりました

みなさんご存知の通り
うさぎは淋しいと死んでしまうもの
いつも存分に自分をなでてくれていた詩人が
十日ものあいだ一度も来ないのです
普通ではいられません
自分のために寝食を忘れ詩集を書いていると
知ってはいたけれど
それでもやっぱり淋しくて
淋しくて淋しくて淋しくて
十一日目の朝とうとう死んでしまいました
皮肉にもそのすぐあと
うさぎの亡き骸を家族が囲んでる頃
書き上げた愛の詩集を手に
詩人がうさぎのドアを叩いたのです
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