夜は走る/夕凪ここあ
きれない
だからここに来たの
あしたの中に
それでも昨日の混じる
そんな矛盾のある場所でなら
どうにか生きられる
呼吸を忘れそうに
なりながら
夜を走る
君はさ
今頃
どこに
辿りついた頃だろう
左から
何番目の星に
端っこのない
天体で
探す
夜を走ることを
急ぎすぎたのだ
と言い聞かす
君はさ
もう
あさってを
一歩も二歩も
踏み進んで
まるで
何事も
なかったかのように
ひとりの
朝を迎えた
昨日
夜に走る
無数の見えないものたち
哀しみ
なみだ
に似ていた
と思う
夜を走ると
君の言葉に
触れた気がした
瞬間
夜が深まるより早く
溢れ出したのは
とめどない
哀しみ
だったから
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