花ノ名/見崎 光
 
散ってしまった花弁を
どれほど美しく繕っても
風に舞い
せせらぎに揺れ
瞳は透明に転がって
転がって…


散ってしまった花弁を
どんなに綺麗と詠っても
風と飛び
せせらぎと泳ぎ
瞳が粒を溢して
溢して…


無邪気に笑う髪
わずかに残る甘さをなびかせて
掻き分ける指先を見失う


木漏れ日に見つけた一輪の
鮮やかに弾けた蕾
繰り返し囁いた精粋に
染めた頬がいじらしい


散ってしまった花弁を
どうしても飾っておきたくて
けれど…
風は悪戯に
せせらぎは無情に
瞳ごと記憶を消していく
消されて いく


光りに咲いた花ノ名さえも








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