【小説】非習慣的な夜/なかがわひろか
僕の生活はそれほど毎日劇的なものなんかじゃないし、あるいは普遍的とも言えない。僕は毎日二時間何かを勉強して、本を読み、映画を観て、テレビを観て、夜になったらまた一時間くらい本を読んで、夜明け頃に眠りにつく。朝方に眠る最大の悪いところは、眩しい世界で見る夢は、本当に悪い夢だということだ。
そんな生活を繰り返しているだけの僕に劇的なことなんて起こるはずもない。誤解しないで欲しい。何も僕は劇的な毎日を期待している訳じゃない。そりゃ時々は、毎日二時間きっかり勉強しに行く図書館で、二週間に一度くらいは素敵な出会いがあったらなんて思うけれど、あくまでその程度の期待だ。だから僕にとっての劇的、というのは
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